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執筆者の写真Kyoko Akimoto

シェルターでのボランティア

更新日:2020年7月29日

オーバーグラウンドで物乞いをする人のほとんどが自分のことをホームレスと名乗っていた。通学中の車内の気まずさに戸惑い、どうすればいいのかわからないままでいた私は、ホームレスのことについてもっと知りたいと思い、大学のボランティアフェアで知ったシェルターでボランティアを始めた。11月、毎週月曜日に9時から1時まで朝ごはんとランチの提供の手伝いを始めた。


ここでの体験は半年のロンドンでの生活の中でも特に印象に残っている。大学院でのレクチャーは週に3回、ほとんどが夕方5時半から8時に行われた。留学生で知り合いも少ない私にとって、週一回のこの時間は一番ローカルの人たちと自然な会話を楽しむことのできる時間でもあった。


食べ物の会話はいつでも自然に行われる。


'What would you like on your toast?'

(トーストに何をのせますか?)


バター、ストロベリージャム、マーメイドジャム、チョコレートスプレッド、ピーナッツバター、マーマイト。1ヶ月ほど経つと顔なじみの利用者の顔と好みをだんだん覚えてきた。11時ごろになると今日のランチのメニューをよく聞かれた。あたたかいご飯は場の雰囲気も温めてくれる。



(上の画像はマーマイト。一度だけ舐めてみたけれど噂に違わず個性的な味でした。)


何ヶ月か経つと、利用者の人の中にはほとんど英語が話せない人、たどたどしい人もいることに気が付いた。オーバーグラウンドで乗客に話しかけてくる人たちはほとんどがイギリス英語を話していたので、英語でのコミュニケーションが難しい状態でホームレスになってしまった時どれだけ困難な状態になるのか、それまで想像したこともなかった。一度、オーバーグラウンドで自分の状況を訴えかける小さな紙を配る人にもあったことがある。おそらく彼は英語が話せなかったんだろう。その紙をまじまじ読んでいた私の様子に気づいた彼は私の目をじっと見つめてて手を合わせてきた。その必死な様子に萎縮してしまい、何も言わず紙を返してしまった。


ロンドンにはたくさんのチャリティ団体・活動が盛んである。チャリティショップも街中でよく見かけた。クリスマスはイギリス人にとって家族と過ごす一大イベントのようだけれども、クリスマスの数日前から年末にかけて行われる大きなチャリテイイベント「クライシスインクライシス」が行われていた。ホームレスネスに関わる活動が盛んなことを知っていくとより一層、電車内でのあの気まずい冷たさが気になってしまった。


クライシスインクリスマス




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